介護について②

※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)

年金暮らしなので、はたして介護サービスに支払えるだけの貯金があるかどうか心配です。介護に掛かる費用はどのくらいか教えてください。また、州政府から援助金をもらうことはできますか?

  •  5月5日号のコラムで介護サービスには様々な種類があるということを説明しましたが、介護に掛かる費用もどのようなサービスを受けるかによって異なります。
  • 2009年度の統計結果では、シアトル近郊の介護施設の1カ月間の平均入居費はナーシングホーム(特別養護老人ホーム)の個室で7604㌦、相部屋で6676㌦、また介護付きアパートやアダルトファミリーホームは3300㌦となっています。(Genworth Financial Survey, 2009)
  • ナーシングホームの入居費には施設で受ける介護、看護費、食事や身の回りの必需品にかかる費用などすべて含まれていますが、介護アパートの基本料金には食事、部屋の掃除、洗濯以外のサービスが含まれていないのが一般です。ですから、入浴や着替えなどの介護サービスを必要とする場合は追加料金を支払うことになります。
  • 介護士派遣会社を通して在宅介護サービスを受ける場合は、平均で1時間20㌦から25㌦掛かりますが、この場合も介護を受ける人がどの様なサービスを1日何時間必要とするのかによって一ヶ月間に掛かる費用が変わってきます。
  •  このように数字を見ると、介護に掛かる費用は本人や家族にとってかなりの金銭的な負担になりかねないことが伺われます。一般の健康保険やメディケアは100日を越える長期介護サービスはカバーしないので、長期介護保険にあらかじめ加入しておく、または介護費用に貯蓄をしておくなどの準備が必要となります。
  • もし貯金も介護保険もなく、介護サービスに必要な費用が支払えない場合は、ワシントン州長期介護援助プログラム(通称COPESコープス)への申し込みをご検討ください。このプログラムは自宅または施設で介護を必要としている人の介護費用を州政府が全額または一部負担するものです。
  • COPESプログラムへの申し込みは最寄のワシントン州福祉局(Department of Health & Social Services)を通して行います(キング郡:1-800-346-9257)。申し込み後、州職員による査定の結果、介護が必要であると認定され、さらに州で決められた所得基準に見合う人のみこのプログラムに加入して介護費用の援助を受けることができます。
  • 所得基準の計算は複雑なので、このコラムでは説明できませんが、もし基準以上の財産を所有する場合はCOPESやメディケイド法(Medicaid=公的医療扶助制度)に詳しい弁護士に相談することをお勧めいたします。

介護施設を選ぶ時のポイント

  • 「いつかは介護施設に入居しよう」と思っていても、いざ施設を探そうとなると、どのように自分に合った施設を選んだらよいのか迷われる方も多いのではないかと思います。
  • まずは自分がどのような介護を必要としているのかを把握することが重要です。例えば、部屋の掃除と食事の支度だけを必要としている人と、排泄や歩行の世話を必要としている人とでは介護のレベルにかなり差があります。よって入居できる施設も異なってきます。
  • 前者は介護付きアパートが、後者はアダルトファミリーホームかナーシングホームがより適切かと思われます。(介護施設の種類については5月5日号のコラムをご参照ください)
  • 特にシアトルなどの都市部は施設の数も多いので、今まで住み慣れた地区に住むのか、行きつけの病院や家族から近い所に住みたいのかなどを考慮に入れ、地域をある程度絞って施設を探すことも大切です。
  • 入居希望の施設をいくつか選んだら、施設見学の予約を入れましょう。見学時には施設全体の雰囲気、介護スタッフと入居者数の割合、部屋の大きさ、食事の種類、アクティビティーの様子などをよく観察し、そこに住んでいる入居者と話をすることをお勧めいたします。
  • また、自分が必要としている介護がその施設で受けられるのか、年間の入居費はいくらなのかを、施設のオーナー又は入居コーディネーターと話し合いましょう。その際、もし今後介護をもっと必要とするようになった場合はどうなるのか、貯金が無くなり入居費を支払えなくなった場合、前述のCOPES プログラムに加入してその施設に住み続けることは可能かなどの質問をすることも大切です。
  • 入居者が適切な対応を受けているか、そして施設がワシントン州の基準に見合った経営をしているかを確認するためにも、施設の近年の監査レポートを見せてもらうよう頼みましょう。また、メディケアのウェブサイト(www.medicare.gov)でナーシングホームの監査レポートを見ることや、ワシントン州福祉局(1-800-422-3263)に問い合わせることもできます。
  • ◇  ◇ ◇
  •  今まで慣れ親しんだ環境を離れ、介護施設に入居するというのは本人にとって、とても勇気のいる大きな決断です。周りの家族や友人の「施設に入ったほうが安心だから」という勧めと、思い出の詰まった住居を去りがたい気持ちとの間に挟まれ、施設の入居を迷っている方もいらっしゃると察します。できるならば、介護施設の他にも在宅介護やアダルトデイセンターに日中だけ参加するなどのオプションも考慮にいれたうえで、有意義なシニアライフを過ごすため、ご自分にあった環境を見つけられるのが理想的です。

著者:三木綾子

三木綾子

投稿者: 三木綾子

ワシントン大学ソーシャルワーク修士課程終了。 Asian Counseling & Referral Services (ACRS)勤務。