高齢者のうつ病について

家族やご友人が

しかしながら高齢者ご本人にしてみると、家族や周りの人たちに迷惑をかけたくない、今まで大変なことでも我慢して生きてきたので今回も時間が経てば大丈夫なはずだから心配しないでほしい、歳をとると慢性疾患に伴いこういう生活になるから仕方がないなど、高齢者の方々がよく口にされます。しかしながら、ご家族や親しい友人の方からしてみると、高齢者の方が今後の人生を落ち込みながら費やすことをしょうがないから諦めてやっていってほしいと思う方はいないのではないでしょうか?

そういったお年寄りには、その方を大切に想っている人から、高齢者にとっての気分の落ち込みというのはありえることであるので、ゆっくり時間をとって、話に耳を傾けるのが良いと思います。ご本人の日々向き合っていかなくてはならない健康状態や高齢化に伴う生活の変化の大変さを理解すること、また周りの方からその人に対してどのように残りの人生を過ごしてもらいたいかという思いを伝えてみるのも良いでしょう。その周りにいるご家族や友人もいつかはそのような慢性疾患や生活の変化など通らなければならない道かもしれませんので、他人事ではありません。そのような、誠心誠意のある会話によって、高齢者の方が専門医に会ってみようと思うことも少なくありません。もし、高齢者専用の施設で暮らしている方は、その施設にメンタルヘルスのサービスが提供されているかどうかなど施設のスタッフに相談してもよいと思います。

大切なことは、歳をとるということイコール気分が落ち込んだり孤立するという方程式ではありません。確かに慢性疾患が歳を重ねるにつれて増えていくという実情はあるかもしれません。しかしながら、今までのように外出機会が減っても、精神衛生的に健康な高齢者はたくさんいます。もしお近くにそのような高齢者がいるようで、専門医に会うことを躊躇っている場合は、ご家族や友人の方と一緒にやソーシャルワーカーと会ってみるというも、良いかもしれません。

著者:上田大二郎