役に立つ ドメスティックバイオレンス基礎知識 ①

背後関係に眠るDVの有無

  • では例として、「恋人の車の鍵を隠した」という行動を見てみましょう。
  • 例1:自分の恋人が会社の同僚と仲良くなるのが許せず、また経済的に独立していくのが嫌だったので、鍵を隠して出社できないようにした。
  • 例2:自分の恋人がお酒を飲んで酔っ払っていても、運転すると言って聞かない。過去に飲酒運転で事故も起こしている。頼んでも話が通じないので、鍵を隠した。
  • 例1では、動機は恋人への嫉妬と、自分に経済的に依存しなくなる=束縛する事が難しくなる、ということが挙げられるでしょう。この行動の結果として被害者は仕事(経済力)や友人を失うことになるでしょう。このように社会から孤立させることはDVの悪化につながる大きな要因です。
  • 例2では、動機は恋人の身の安全を案じてという事でしょう。そして過去にも同じような事があり、恋人が法のトラブルに巻き込まれたという事実もあります。そういった事実をふまえると、恋人の許可無しにでもその場で判断を下すことが必要になって来るでしょう。鍵を隠すことによって一時は不便になるでしょうが、DVのような長期に及ぶ影響はないでしょう。
  • このように、背後関係を知ることによってDVかどうかの判断がしやすくなります。
  • またDVの特徴とは
  • 加害者はDV行為・行動を、子供時代の経験や社会からのメッセージなどから学ぶ
  • パターンは繰り返し、程度が悪化する強制的で、特定の人に的をしぼっている
  • 同性愛、異性愛(*)を問わず、どのような人種、文化、階級、職種、宗教、年齢、学歴の人でも、被害者、加害者になる可能性がある(*ただ異性愛関係にあっては女性が被害者になる確率のほうが高い)。

隠れた犯罪、少ない報告件数

  • DVは隠れた犯罪とも呼ばれているように、とても頻繁に起こっているのですが実際に報告されるケースは全体の30㌫だと言われています。たいていの被害者は、DVは自分のせいで、暴力を経験しているのは恥ずかしいと感じています。また日本ではよくある事だからと、ある程度までDVが悪化しないと(ひどい身体的暴力を受けるなど)助けを求めない被害者がたくさんいます。ですが、暴力を選んでいるのは加害者であって、それは被害者が変えられるものではありません。被害者が出来ることは、自分の心と体の安全を守るためにはどんな選択肢があるのかを知る事とDVを理解している個人や団体からサポートを受けることです。
  • 自分がDVにあっていると思われる人や、実際にDVかはわからないけれども日本語で質問がしたいという人は、下記の団体に無料で相談できます。
  • Eastside Domestic Violence Program (ゆう子まで)
  • (425) 746-1940 または(800) 827-8840

著者: 三木優子