出産後間もない母親の回復 赤ちゃんの成長をサポートする専門職 後編

※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)

前回は、産後のお母さんの体の回復と赤ちゃんの成長を見守り指導や援助をするプロフェッショナル、産後ドゥーラ(ポストパータムドゥーラ)について紹介しました。(www.nadeshikodoula.com)今回は、具体的にどのように、どのようなメリットがあるのか、どのようなサポートをしているのか聞いてみました。

Q : 産後ドゥーラさんにお願いすることによって、どのようなメリットがあるのでしょう?

A:母乳の量を促進する方法を指導し、母乳に良いお食事を準備して完全母乳を応援します。産後の回復と母乳促進に良いのは日本食です。脂を控えめに、野菜を豊富に使ったお食事をお勧めしています。

お母さんの話し相手になり、不安を解消し産後うつを防ぎます。産後は赤ちゃんと2人きりで気が滅入ったり、ホルモンバランスの変化により気分も浮き沈みしがちです。何でも話せるドゥーラの存在は良い気分転換になります。産後ドゥーラはプライバシーを保護します。

ご主人にも新生児のお世話について指導し、育児分担のお手伝いをします。ご主人の手を借りることで、完全母乳をより成功に導くことができます。母乳はお母さん、お風呂はお父さんと役割分担するなど、お互いを尊重しながら助け合えるようお手伝いします。

家事の心配が減り、余裕を持って赤ちゃんとのスキンシップを楽しめます。お母さんには、赤ちゃんの成長と身体と心の回復だけに専念していただけます。

安心して床に着くことで、親子間の絆も育ちます。親子間の絆=深い愛情は、産後うつを防ぐ大きな要素でもあります。

 

Q:赤ちゃんのお世話とは具体的にどんなことをするのですか

A:オムツ替え、お着替え、お風呂、寝かしつけ、等をしつつ成長を見ます。黄疸や乳児湿疹の状態をチェックし、必要な時は医師へのコンタクトを提案します。

 

Q:お母さんのサポートとは具体的にどんなことをするのですか?

A:授乳のお手伝い、母乳に良いお食事の準備、母乳マッサージの指導や母乳促進するサプリメントをお教えします。お母さんの身体の調子や気分を伺って必要な時は医師、助産師、ラクテーチョンコンサルタントへのコンタクトを提案します。また話し相手にもなり、お母さんの不安やストレス、プレッシャーを解消します。

 

Q : 授乳についてのサポートもして頂けるのでしょうか?

A : はい。授乳ポジションの指導や吸い付かせ方等サポートいたします。

 

Q:友人にドゥーラさんを頼みたいと思うのだけれど、夫婦だけでなんとかなると思っているご主人もいらっしゃるようです。ドゥーラさんはだんなさんへのサポートもされるのですか?

A :「2人でやればなんとかなるよ、料理もできるしサポートを頼まなくても大丈夫」というご主人がけっこういらっしゃいます。でも、いざ赤ちゃんが産まれてみると育児書通りにはいかないことも沢山あって大慌て。夜中の授乳を手伝うご主人も当然寝不足。2〜3時間の細切れの睡眠で昼間、家事をするのは想像以上に大変です。

お料理だって、今までのように揚げ物や炒め物ばかりという訳にはいきません。母乳によい食事は昔ながらのシンプルな和食です。慣れない料理と沢山の洗濯物を睡眠不足でこなしてついつい機嫌が悪くなり奥さまとケンカしてしまったという話をよく聞きます。

産後ドゥーラがいればお母さんだけでなくお父さんも、昼間ゆっくりお昼寝して休んで頂くことが出来ます。そして、赤ちゃんの沐浴等はご主人に指導して、赤ちゃんとお父さんの絆作りをサポートしています。

 

Q : どれくらいの期間、どのようにサポートをお願いできるのでしょうか

A : サポートは退院後すぐから約1カ月を目安にしています。退院直後は週5日、次の週から3日など産後のお母さんの回復に合わせて日数の調整をしています。

出産前にご自宅に伺い、妊娠中の経過を伺い、産後のご予定ご希望、一般的な産後を想定して、産後の準備、おおよその産後サポート予定などを話し合います。( 30分~1時間、無料)出産には個人差があり、普通分娩の予定でも帝王切開になることもあります。そんな時は必要に応じてサポートの予定変更も可能です。

出産後1週間で日本からご家族がいらして、サポートを中断しご家族が帰られた後再開したケースもありました。また予定日より2週間早く生まれたり、予定日が過ぎてもなかなか産まれなかったりと、さまざまなケースがありますが、その都度ご希望に添えるよう対応させていただきます。

 

Q : すぐに仕事に復帰するため、粉ミルクで育てようと考えている方もサポートをお願いできるのでしょうか?

A:はい。ご希望に添った形で、お母さんの産後の身体の回復と赤ちゃんの健康をサポートさせていただきます。

 

* 参考資料:Pregnancy Childbirth and the Newborn 4th Edition by Penny Simkin

(為石 万里子)