ストレスマネージメントについて

新型コロナウイルス感染者数拡大に伴い、レストランや娯楽施設の営業、各種イベントの停止(レストランはデリバリーかテイクアウトのみ)がワシントン州知事から発表されました。企業も自宅からの勤務を奨励、学校もオンラインでの授業に切り替わっています。国レベルでは、カナダとメキシコの国境の往来の制限、海外渡航への中止勧告、ビザ発給業務の一時停止、入国時の検査・条件なども伝えられています。また、経済の方も株の暴落やサービス業務の縮小から職を失う人も出てきました。買い物に行っても、欲しいものが手に入らなかったり、人との接触を避けるために入場制限をかけていて列に並ばなくては行けなかったり、明らかに毎日の生活に変化を感じます。
また、この異常事態の元凶であるコロナウイルスへの感染の可能性、恐怖感からストレスを感じている方も多いのではないでしょうか?

今回は、はあとのWA!副代表で企業研修やコーチングを行っている森山陽子が、ストレスマネージメントについて記しましたので、参考にしていただければと思います。

1. 情報の収集と選択

あいまいな情報に振り回されてはいけません!まずは、確かな情報源から知識を得ましょう。ウイルスの事であれば、CDCが一番確実でしょう。また、在留届さえ出しておけば、ワシントン州や米国の動きに関してはシアトル領事館からメールでその都度連絡が入ります。
あまりにも心配で、ずーっとネットで検索し続けてしまう方もいらっしゃいますが、それはストレス対策としては逆効果とも言えます。「このサイトでは、こう言っているけれどっているけれど、事実は何だろう?」と疑ってみる、自分で考えてみるくらいが丁度良いと思います。「あっちでは、こう言ってた。誰々さんはこうしてるらしい。」といった状況であれば、情報に振り回されていることになりますので、注意が必要です。また「不安にさせられる」と感じる情報からは、意識的に離れることも大切です。
ストレスの対象が「人」であれば、自分勝手にあいまいな憶測や、無責任な第三者の意見に惑わされることなく、何が事実なのか判断する冷静さが必要です。リモートワークだと、顔を合わせることなく文字だけでのやり取りになり、意図がしっかりと通じずに誤解が生まれることもあり得ます。相手の立場に立って相手の言い分を想像してみることは有効ですが、その時作り出すストーリーは確かな情報に基づいていなければいけません。そのためには、当人とのコミュニケーション(確かな情報源からの知識の収集)が必要になります。

2. 現状を受け入れる

情報収集をして周りの現状を把握したら、今度は自分自身にフォーカスしてみましょう。今ここで起こっている事に対する自分の感情・思考を見つめてください。「大丈夫!」と周りには言っていても、本当は不安であれば、不安なことを自分で受け止めることが必要です。自分にウソをついてしまっていると、いつか無理がきかなくなってしまいます。できる人ほど負の感情・思考を認めないまま頑張りすぎて、ストレスをためこんでしまい、体調不良を訴える方が多いように思います。怒っている自分、頼りない自分、疲れ切った自分、不安な自分なども受け入れましょう。
いろんな変化があるんですから、不安になったり、イライラするのも当たり前の事です。こんな状況なんだから、今まで通りにいかなくって当然です。そう思えれば、ちょっと気持ちに余裕がうまれると思うのですが、いかがでしょうか?
楽観的であることをおススメしているわけではなく、現状を見極めて受け止め、落ち着いて行動できる精神状態・判断力を養っていただければと思うのです。

3. 対処方法

「仕方ない」とあきらめてしまっては、何も解決にならないですし、ストレス解消にもなりませんので、次のアクションを考える必要があります。そのために、以下の作業をためしていただければと思います。

★紙と筆記用具を用意して、以下のように括弧の中を埋める。
私は(人や状況)に対して(感情・思考)している。なぜならば(具体的な理由)だから。

例1)    私は(上司)に対して(不満)がある。
なぜならば(在宅業務に関して、的確な指示を出していなくせに、こちらがオフィスにいないからと言ってきちんと仕事をしていないんじゃないかというような事をいってくる)から。

例2)    私は(夫)に対して(イライラ)している。
なぜならば(在宅で仕事しているからと言って、子供や私の都合や予定は考慮しないで、彼のスケジュールを押し付けてくる)から。

例3)    私は(このパンデミックの状況)に対して(不安と怒りを)感じている。
なぜなら、(日本の父親の健康状態が心配なのに、帰国もままならない)から。

できるだけ、沢山の例文を作ってください。次に、「具体的な理由」を書いたところを読み直し、そこを改善するには自分は何をすれば良いのか、相手にどうしてほしいのかを書き出してください。

例1)    在宅業務に関する、的確な指示が欲しいと上司に伝える。
    信頼されていないように感じることに不満を感じることを伝える。

例2)    夫に子供の学校の事を理解してもしいと伝える。
    学校からのメールを夫にも読んでもらい、課題への取り組みのヘルプもしてもらう。
    夫のランチは、自分で用意してもらう。

例3)    日本の父親が心配。
    だけど、今帰国しても父親に感染させてしまうかもしれないから、帰国しないほうが良い。
    父には元気でいて欲しいから、せめて毎日LINEで連絡を入れる。

書き出したものが、対処法のアクションプランになります。このコロナウイルスのパンデミックの状況などは、自分一人で解決できるような事ではありませんが、自分が行動に移すことで、改善できる・対応できる範囲のBESTな事をすることで、無力感から来るストレスは改善することができるはずです。

自分が今できることに集中し、周りや情報に振り回されることなく、自分にとって大切な事を一つ一つこなしてくことができれば、こんな状況でも各自自分なりの充実した毎日を過ごしていただけると思います。

  もし、ストレスからくる体調不良や、自分でコントロールしがたい不安などがある場合は、医者、カウンセラー、コーチなどの専門家のサービスを利用することもストレスマネージメントの一つの形です。
メールや電話で家族や親しい友人と連絡を取り合い、お互いを労わりあうことも有効です。時には、確固たる理由がなくっても信頼している人からの「大丈夫だよ」の言葉がなんとなくストレスの緩和・安心感をもたらすこともあります。
手洗いをしっかりとして、睡眠・食事をきちんと取って、笑って心穏やかに過ごして、免疫力高めてウイルスに負けないようにしましょう!