介護する人のケア②

※この記事は2010年から2014まで北米報知紙上で連載されていたコラムを再掲載したものです)

「最近不眠が続いている」、「自分のための時間がほとんど無い」、「突然不安になったり気持ちが落ち込んだりする」、「家族の者との言い争いが絶えない」。介護をしながらこの様な思いをされている方は、過度のストレスや過労(バーンアウト)にならないよう、セルフケアを心がける必要があります。しかし、実際には他に介護を手伝ってくれる人がいないなどの理由で、なかなか休息の時間が取れないのも現実です。

10月5日号のコラムでは、介護の責任を自分ひとりですべて背負い込まない「がんばらない介護」とセルフケアについて触れました。今回は、介護に関わる人が利用できるサービスについて説明したいと思います。

介護者サポートプログラム

ワシントン州には、無償で家族や友人を介護している人を援助するための介護者サポートプログラムがあります。ワシントン州在住で、州政府の長期介護プログラムに加入していない人(18歳以上)を無償で介護している方でしたら、どなたでもこのプログラムに申し込むことが出来ます。(連絡先は「役立つリソース」をご参照ください)。

まず申し込むと、担当職員による審査が行われ、介護を受けている人(被介護者)の容態やケアの必要性、介護者のストレス度などを調べます。そして、審査の結果このプログラムに加入できると認定された場合は、被介護者と介護者の同意のもと、双方のニーズに合ったサービスの紹介と手配がなされます。

一時介護サービス

介護者サポートプログラムを通して利用できるサービスのひとつに、一時介護サービス(RespiteCareレスピットケア)があります。このサービスは、介護者が一時的に休養を取れるように、担当職員が代わりの介護士を派遣会社を通してアレンジしたり、被介護者がアダルト・デイサービスに参加するよう手配したりするものです。

アダルト・デイサービスとは、被介護者が日中センターに通い、食事や健康チェックのほか、ビンゴなどのレクリエーション目的のアクティビティーに参加することができるプログラムです。また、センターによっては参加者のケアプランに合わせて、理学療法士や作業療法士によるリハビリや、看護師によるナーシングサービス(例えば糖尿病のケアなど)を受けることも出来ます。

介護士派遣サービスやアダルト・デイサービスに掛かる費用は、被介護者の収入によりスライド式で定められます。また、被介護者のニーズによっては介護士ではなく、簡単な家事の手伝いや話し相手の役を務めるボランティアをアレンジする場合もあります。

介護者サポートグループ、トレーニング

介護を中心とした生活を送るうちに、家族、友人、そしてコミュニティーから孤立してしまう介護者も多いのではないかと思います。介護者に精神的サポートを周囲が提供することは、介護ストレスを減らす上でとても重要です。

介護者サポートプログラムでは、各地域で行われている介護者のためのサポートグループやトレーニングの紹介も行っています。

サポートグループとは、介護経験者同士で介護の不安や悩みを話し合ったり、介護に関する情報交換をしたりする機会を提供することが目的で、訓練を受けたソーシャルワーカー、カウンセラーや看護師がグループをリードしながら行われます。地域によっては、アルツハイマー病など特定のトピックに合わせたグループも存在します。

また、プロの介護士や看護師による介護指導を受け、被介護者の病気についての知識を高めたいという方のためには、地域で行われている介護トレーニングへの参加も可能です。

サポートグループやトレーニングに参加することは、他の介護経験者とのネットワークを作り、ストレスや孤立感を和らげるのにも効果的です。

その他の介護サービスの利用

介護を必要としている人の入浴を手伝ったり、歩行時に体を支えたりと介護を続けるには体力がいります。少しでも体の負担を軽くし、介護時の怪我や事故を防ぐために、介護者サポートプログラムを通して、歩行器や入浴補助用具などの福祉用具を購入することも可能です。

また、日中仕事に出ていて昼食の用意をしたり買い物に行ったりする時間が無いという場合は、被介護者のための食事や食料品のデリバリーサービスも、このプログラムを通して利用することが出来ます。

日本では厚生労働省により11月11日は「介護の日」に定められています。介護生活を改善したいけれども、どこから始めていいのかわからないという方は、この機会に介護者サポートプログラムに連絡を取られてみてはいかがでしょうか。

– 役立つリソース: 介護者サポートプログラム連絡先 –

キング郡:(206) 448-3110 www.seniorservices.org

スノホミッシュ郡: (425) 513-1900 www.sssc.org

ピアス郡:(253) 798-4600 www.PierceADRC.org

その他の地域:1-800-422-3263 www.adsa.dshs.wa.gov/caregiving

アジアンカウンセリング・アンド・リファラルサービス(ACRS)

日本人ケースマネジャーによる介護に関する情報提供や相談。

60歳以上のキング郡在住者対象

(206) 695-7556 www.acrs.org

著者:三木 綾子

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